チック・トゥレット症の子どもたち / 星野 恭子【著】を読んだ
息子がお世話になったCBITの先生が寄稿されたというこちらの本を読みました。
3月29日に発売となった新しい本です。
トゥレット症にまつわる本は意外と少ない?
私のイメージですが、トゥレット症候群の本は、
- 医学的・専門的でめちゃ難しい
- 発達障害をまとめた本の中にちょこっとだけチックやトゥレットのことが触れられている
- 紙の本はあっても電子書籍が出ていない
↑というイメージがあるのですが、この「チック・トゥレット症の子どもたち」の本は、
- トゥレット当事者や家族に分かりやすく書いてある
- チック・トゥレット症に特化している
- 電子書籍版がある(海外在住なので、コレ非常に大事)
と3点揃っているのです。
この本を読んで良かった点
年齢ごとに症状や対処方法が書いてある
長年チックやトゥレット症のお子さんを診てこられた星野先生だからこそ、年齢(学年)ごとに予期できるチックの症状やその対処方法を書かれています。
これまではチックのピークが10~12歳と言うことくらいしか知りませんでしたが、小学校・中学校・それ以上などだいたいの予測や年齢に見合った治療方法が詳細に書かれているのは、親としてちょっと心の準備ができるかなと思いました。
トゥレットとの合併症
合併する疾患(例えばうちの息子の場合は不安障害、強迫性障害の可能性)を見極める尺度や、なぜその合併症とトゥレットがグレーなのかが分かりやすく説明されているなと思いました。
ドパミンの別視点
よく、トゥレット患者はドパミンに異常ありなどと聞いていましたが、星野先生の視点が少し違います。
実は↓このページはずっと前からブックマークしていたのですが、星野先生の勤める「瀬川記念小児神経学クリニック」の前身「旧瀬川小児神経学クリニック」の瀬川先生の考察も受け継がれているのかと思われます。
こちらの記事にもある極少量Lドパ療法(保険の適用有無も)についても詳しく書かれています。
オンライン診療
なんとコロナ禍前からオンライン診療をされているのだそうです。
そう言えば息子のCBITの先生もオンラインでした。
トゥレットに特化した病院が全国でも少なかったり、トゥレット患者が全国に点々としているので、オンラインは非常に大事なツールだと思います。
薬による治療+α
年齢や症状に合った薬の種類などを詳しく書かれています。
薬物はなるべく避けたいのですが、どうしてもチックの症状が酷いなどは仕方ないと思っています。
でもその薬での治療を始める前にできることについても書かれてます。
チック・トゥレット症の子どもだけでなく、子ども全体に当てはまるなぁと思いました。
本を読んでみて
もしも私たちが日本に住んでいて、息子のトゥレットに薬物が必要と判断した場合はオンライン診療で星野先生にお願いしていたかもしれません。
しかし、悲しいかな我が家はイギリス在住。NHSという保健サービスのおかげと言うか「せい」と言うか、トゥレット症のための薬は自由に選択することはできません。
星野先生は年齢や症状によって数種類の薬を紹介されていましたが、NHSではそれらは手に入らない可能性は大きいです。
でも人生何が起こるか分かりませんからね。
もし日本に住むことになったりしたら、ぜひこちらの本の対症方法を参考にしたいと思います。
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