澤田智洋「マイノリティデザインー弱さを生かせる社会をつくろう」(ライツ社)を読んだきっかけ
先日、こちらの本を読みました。
この本に出合ったきっかけは、著者の澤田さんが日本のラジオに出られていて存じ上げたのと、息子さんがうちの息子と同学年、それに障害があると聞いたから。
障害のある子どもを持つ親御さんの話を聞いた
半年くらい前でしょうか、VPNを繋いでradikoでJ-WAVEを聴いていたんです。
するといつもの別所哲也さんがお休みで、代わりにnicoさんと澤田智洋さんが出られていた。
澤田さんはDJが生業ではないにも関わらず、英語が上手だし、声のトーンや話し方・スピードもなかなかよろしい。
しかも「息子は障害があって・・」「今赤ちゃんを育てている」と実生活を例に出して親しみやすい感じ。一体何者なんだ?!と思ってググると・・
- 某大手広告会社のコピーライター
- 世界ゆるスポーツ協会の代表理事
- 少年時代を海外と日本を行き来して過ごした
という何とも素晴らしい経歴の持ち主。
でも、追加で気になる一言が。
『息子さんが全盲。』
「ぜ、全盲?!」
思わず口に出そうになった驚きの言葉です。
確かにラジオで息子さんに障害があるとは言われていたけど。
非常にショックを受けました。
しかも息子さんはうちの息子と同学年のようです。
終わった、と思った
という記事内の澤田さんのコメントに、息子のチックについて「治る方法はない」と医者に言われて絶望した時のことを思い出しました。
だけど、世界ゆるスポーツ協会の代表理事としてインクルーシブな社会を目指している澤田さんに心を打たれ、澤田さんの著書を読んでみたのです。
実際に本を読んだ感想
海外在住の味方・電子書籍で読みました。
障害を人に話す時のことで妙に共感してしまった点
息子の話をすると、よく「研究もすすんでいるし、見えるようになるかもしれないよ」と言われることがあります。励ましで言ってくれているのはわかる
これね、私も「大きくなるにつれてチックはなくなるらしい」「見た感じチックは全然分からないよ」などと言われて密かに傷ついているのですよ。
まさに励ましで言ってくれているのがわかるし、大人になってもトゥレットで苦しんでいる人がいることも。
でも、澤田さんは続けて「できないことをどうするのか」ひらめいたことを記されています。
帰国子女ゆえの苦労も我が家が共感できる
澤田さんは子どもの頃、フランス、イギリス、アメリカ、日本とお父さんのお仕事の関係で引っ越しされていたそうです。
日本では「ガイジン」「帰国子女」だし、海外では「日本人」「アジア人」という部外者だったんです。故郷がない、どこでもアウェイ状態。
もうこれ、めちゃくちゃ共感です!
日本に帰省すると私の子ども達は「ガイジン」「ハーフ」「お父さんにそっくり」と言われるし、北アイルランドではまず「チャイニーズ(中国人)」ごくまれに「日本人」「私にそっくり」。
これも障害というか障壁とだと思うんですよね。
そんなアイデンティティーの問題がありつつ、現地校に身を置いて日本語が100%ではない状態で過ごしていたけど、日本の大手広告会社でコピーライターになられた澤田さん。
日本・海外の2つ間で価値観を見出していったところが、強みとしても現れている気がします。
できないことは克服するものではない
これは逆転の発想ですかね。
今現代、普通に使われている片手ライターや曲がるストローは、実は障害のある人と発明されたということ。
↑私、両方とも過去に耳にしたことがありました。
そんな逆転の発想を紹介しつつ、「できないことは無理に克服しなくていい。」と言われる澤田さん。
では具体的にどうするのか?
その澤田さんのアイデアは、ぜひこちらの本で続きを読んでいただきたいと思います。
トゥレット症候群だけでなく、障害のあるお子さんを持つ親御さんに共感してもらえるのではないかと思います。
4コマ漫画とバンドデビュー
澤田さんが若い時に書かれた4コマ漫画がいくつか紹介してありました。
くすっと思わず笑ってしまいましたよ(笑)
それにアメリカで自身のバンドがデビューしたということもさらっと記されていました。
アメリカで日本人のバンド・・これもまさにマイノリティーの分野ではありますよね。
なんだか、色々スゴイ人だなと改めて思いましたよ。
絶望があったからこそ
世界ゆるスポーツ協会を立ち上げ、代表理事の澤田さん。
このイベントは、息子に障害があるとわかったときの絶望がなければ生まれていません
本当に。私も息子のチックで「治せない」と医者から言われた時は絶望感半端なかったですし、今でも自分の気持ちに波があるときは絶望しています。
でもチックすら知らなかった私にトゥレット症候群のことを教えてくれたのは息子。
それまで気づかなかったけど、町の中や電車の中での変わった人さまの行動で「あ、あれもチックかな」と寛容な気持ちになれるようになりました。
そして何よりもブログなどを通じて同じくトゥレットのお子さんを持つ親御さんとの交流。
息子にチックがなかったら出会えてなかったかと思うと非常に寂しい気持ちになります。
私の身近な障害のあるお子さんを持つ親御さん
日本のトゥレットやチックのあるお子さんを持つ親御さんのコミュニティー『シービッターズ』
息子が受けた日本のCBIT(シービット)の先生はシービッターズというオンラインコミュニティも運営されています。
私はトゥレット症候群の人は身近におらず、日本全国津々浦々のトゥレットのお子さんを持つ親御さんと情報交換ができていて助かっています。
北アイルランドのトゥレットサポートグループ
コロナの規制が緩和され、実際にグループの人たちとお会いすることも増えてきました。
北アイルランド当地でのCAMHSや学校での対応などを先輩ママさん方から聞くことができるので、生きた情報は担当医師よりも頼りになるほどです。
夫の従姉妹の自閉症の子ども
夫の従姉妹の子どもが重度の自閉症なのですが、娘と誕生日が1カ月違いなので何かと話を聞くことがあります。
しかも上のお子さんはうちの息子と誕生日が同じ。
隣町に住んでいるので学校以外でのサービス利用など、従姉妹から聞いていなかったら知らなかったことも多いです。
まとめ
トゥレット症候群に限らず、お子さんの障害のことで悩まれている親御さんは本当に多いんだなと思いました。
でも著者の澤田さんはそのマイノリティーを強みにして前を向いている。
私も見習わないといけないところです。
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